原作はこれまで映像化不可といわれたベストセラーで、作者のアゴタ・クリストフ自身がハンガリーからスイスに亡命した体験をベースに初めて仏語で書き上げた「悪童日記」の映画化。第2次世界大戦下、「魔女」と呼ばれる祖母の農園に疎開した双子の兄弟が、祖母から課せられる重労働、大人から受ける暴力行為、日々の苦痛を麻痺させるためにお互いを殴り合うなど戦争の中、貪欲に生き抜く双子の姿は残酷で力強い。芥川文学に通じる倫理を超えた人間の本性を描いている。
これがデビュー作となるアンドラーシュ&ラースロー・ジェーマントの双子の演技は衝撃的。鑑賞後の感動はひとことでは言い表せない問題作。
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