「死ぬまでにしたい10のこと」のイザベル・コイシュ監督最新作。離婚のショックから立ち直れずいる書評家の女性が、ふとしたことで知り合ったインド人タクシー運転手から“運転”と“人生”の手ほどきを受けることで、本来の自信と輝きを取り戻していくさまが清々しく描かれたハートフル・ストーリー。2002年、雑誌“ニューヨーカー”に掲載されたキャサ・ポリットの実体験に基づくエッセイが原作になっている。知的な女優パトリシア・クラークソン、名優ベン・キングズレー主演。
運転はその人の心を表すというもので、人生に迷いがあったり、自分に自信がなかったりすればとっさの判断が鈍り、おのずとハンドルさばきも鈍くなる。人気書評家という立派なキャリアをもつ女性でも、離婚という現実を直視できず、違う道(人生)を選択することを恐れ、なかなか運転に身が入らない。インド人タクシー運転手の確かなナビゲートは彼女の雑念を取り払い、アクセルを踏む勇気を与えてくれるのだ。目的地(生き方)を見つけた人は美しい。そんな印象を残す映画だ。
クラークソン(ウェンディ)とキングスレー(ダルワーン)。程好い距離を保つ大人の関係にぐっとくる。安全運転でまわり道。こんな“人生のドライブ”も楽しいものだ。
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