独裁者と小さな孫

The President

  • 新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町 他全国公開
  • 2014年 ジョージア=フランス=イギリス=ドイツ映画 119分

絶望か希望か 独裁者と殿下の魂の旅

独裁者と小さな孫

「カンダハール」のモフセン・マフマルバフ監督最新作。祖国イランを離れ、亡命先であるヨーロッパに生活拠点を置くマフマルバフ監督。平和への熱い想いがダイレクトに伝わる魂の渾身作を発表した。独裁政権が衰退し始めたある架空の国。ある日クーデターが起こり、老いた独裁者は幼い孫と共に逃亡を図る。罪なき人々を思うがままに処刑してきた無慈悲な独裁者と汚れを知らない無垢な殿下。二人はただの祖父と孫に姿を変え、旅芸人に成りすまし、海を目指し逃亡の旅に出るのだが…。

今も世界のどこかに存在する独裁者の影と暴徒化する争いごとの数々。祖父と孫の生き残りを賭けたこの旅の物語では、独裁政権に支配された国の悲劇的な現状をあますことなく映し出す。それを目の当たりにした独裁者は過去の罪に追われるはめになり、あどけない孫に癒されながら、人間性を取り戻し野蛮な心を改心していくのだ。目を覆いたくなる衝撃的シーンも多々あるが、さすが巨匠の名に相応しく、独裁国家を象徴した冒頭から既に釘付け。緊迫したストーリー展開に圧倒される。

  • 監督:
    モフセン・マフマルバフ
  • 出演:
    ミシャ・ゴミアシュウィリ
    ダチ・オルウェラシュウィリ
  • 配給:
    シンカ

“目には目を、歯には歯を”の精神からは何も生まれない。憎しみの感情を断ち切る勇気こそが、希望の未来に繋がることを切に訴えかけてくる力作。主演二人も素晴らしい。