「海炭市叙景」「そこのみにて光輝く」に続く函館三部作の最終章。夢半ばでこの世を去った孤高の作家・佐藤泰志最後の芥川賞候補作品であり、職業訓練学校に通っていた自身の体験を基にした物語でもある。結婚にも人生にも失敗し、淡々と職業訓練学校に通う孤独な男と、痛いほどに屈折した女。どんよりとした日常から抜け出せずにいる二人が出会い、傷つき寄り添いながら“暗闇”を飛び越え「光」を見出すまでを描く純愛ドラマ。「希望」の余韻に浸れる最終章に相応しい作品になった。
監督は「苦役列車」の山下敦弘。時折笑いを含ませながらもシリアスに描ききった。 主演オダギリジョー、蒼井優(鳥の求愛ダンスは強い印象を与える)共演に松田翔太。
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