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東西冷戦下のアメリカ宇宙開発史上、“知られざるヒロイン”たちの驚きのサクセス・トゥール・ストーリー。アメリカとソ連が熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた1960年代初頭。“人間コンピューター”と呼ばれた3人の黒人女性を主人公に、NASA宇宙開発に多大な功績を残した“数学女子たち”の奮闘劇を描く。全米大ヒットに加え、アカデミー賞(R)、ゴールデングローブ賞ノミネートなど優秀な賞に輝いた。監督は「ヴィンセントが教えてくれたこと」のセオドア・メルフィ。
1961年、NASAラングレー研究所。数学の天才的頭脳をもつ黒人女性キャサリンは、その実力が認められ宇宙特別研究所本部のメンバーに抜擢されるが…。白人主義の時代、しかも男性社会の中で、偏見・差別の嵐に揉まれながらも、自分の力を信じ努力を重ね新たな道を切り開いた黒人女性たち。NASAの宇宙開発のピリピリとした現場など当時の状況をリアルに再現した歴史ドラマでありながらも、人種問題、女性進出をテーマに掲げた女性映画としても楽しめる。
タラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイの主演トリオのガッツ極まる名演と共に、久々の登場となるケビン・コスナーの存在感も光った。
©2016 Twentieth Century Fox
「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」「HACHI 約束の犬」に続く、ラツセ・ハルストレム監督が描くドックシリーズの第三弾にして集大成作品。命を救ってくれた飼い主に会いたいと50年で3度生まれ変わり、異なる4つの“犬生”を生きた犬と飼い主との絆を描いた感動作で、原作はベストセラー作家のW・ブルース・キャメロンが、愛犬を亡くした試練を乗り越えようとした恋人のために書いた小説。常に犬目線から描かれる心温まるエピソードの数々は、愛犬家ならずとも夢中になる。
ゴールデン・レトリバーの子犬ベイリーの“最愛の人”は、命の危機を救ってくれた 8歳の少年イーサンだ。以来一匹と一人は固い絆で結ばれ、喜びも苦しみも分け合ってきた。だが、犬の寿命は人間よりもうーんと短く、ついに別れの日が訪れるが…。大好きなイーサン会いたいという“使命”に燃え、種類の違う犬に生まれ変わり異なる犬生を生きる何とも不死身なベイリー。健気で忠実。犬の習性が活かされた期待通りの結末にも感動。思わず抱きしめたくなる可愛さに癒された。
出演にデニス・クエイド。ゴールデン・レトリバー、ジャーマン・シェパードなど4種犬に生まれ変わるベイリーの心の声をジョシュ・ギャッドが愛嬌たっぷりに吹き替えた。
©2017 Storyteller Distribution Co., LLC and Walden Media, LLC
プロメテウス計画が失敗し、新たにコヴェナント計画を立ち上げた2104年、宇宙船コヴェナント号は開拓者2000人を乗せて人類移住が可能な惑星オリガエ6へ向かっていた。航行中ニュートリノ爆発に遭遇し、その衝撃から船内のあらゆる箇所で故障が起き、航海士たちのみが冷凍休眠から目覚めてしまう。航海士達は船の修理中、謎の信号を受信する。その発信元は植民するのに適した未知の惑星からだった・・・。
今回はその星にコヴェナントチームが降り立ちデヴィッドが”創造者”として登場。この作品はまだ続編があるので、次回作でエイリアンのすべての謎を解決するはず。
©2017 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved
1940年、第二次世界大戦中のドイツ軍は、戦車や航空機の新兵器を用いた電撃的な戦いで英仏連合軍をフランス北部のダンケルクへと追い詰めていた。5月26日、危機感を抱いたイギリス首相のチャーチルは、ダンケルクに取り残された兵士40万人の救出するため、軍艦、民間の船舶も総動員しダイナモ作戦が発動させる・・・。
全編65ミリフィルムを使用し、IMAXカメラを投入。空中戦を繰り広げるスピットファイアや戦闘シーンの臨場感が体験できる迫力映像は必見
©2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED
高速鉄道の中で突如発生したパンドミックの恐怖を描いたサバイバルパニックサスペンス。人間の卑しい本性があらわになるシーンに観客は、本当に怖いのはパンドミックではなく人間の生への執着だと感じる事だろう。 別れた母親に合わせるため、ソウル発の高速鉄道KTXに乗ったソグと娘スアン。車内では一人の少女が痙攣を起こし倒れるが、次の瞬間突如として乗客を襲い始める。閉ざされた空間で逃げ惑う乗客は安全な終着駅にたどり着くまでの決死の戦いに挑む・・・。
冒頭でトラックが突然飛び出してきた鹿を引き殺しそのまま逃げてしまうが、なぜか鹿が死んだはずなのに突如起き上がるシーンに異常な世界の始まりを感じさせるプロローグは最高。
©2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved.
「そして父になる」の是枝裕和監督4年ぶりの最新作。主流だったホームドラマから一転。以前より興味があった法廷劇を題材にしたドラマに着手。勝訴のことしか頭にない弁護士と不気味な容疑者との“真実”の探り合いが描かれるが、これは脚本執筆の際に出会った現役弁護士たちからの「法廷は真実を解明する場所ではない」という意外な言葉から発想を得たもの。よって熱血弁護士の成功物語というよりは、“真実は藪の中”というグレーな後味を残す、新しいタイプの法廷劇が生まれた。
殺人の前科がある三隅が、解雇された工場の社長を殺した容疑で起訴。犯行も自供し死刑もほぼ確実だったが、弁護士の重盛はなんとか無期懲役に持ち込もうと調査を進めるうちに、意外な真実が浮かび上がる…。真実よりも勝訴と割り切る弁護士の重盛が得体の知れない容疑者の三隅と接点をもつことで、初めて“真実”の壁にぶち当たることになる。積み重ねた嘘の中に本当に真実はあるのか?“正義”と“裁き”をキーワードに、いくつもの疑問を孕み人間の心の闇をじりじりと炙り出した。
弁護士役に福山雅治。是枝組初参加の名優役所広司が凄みの容疑者役を演じる。二人の接見室でのやりとりにぐいぐい引き込まれる。鍵を握る被害者の娘は広瀬すずが演じる。
©2017フジテレビジョン アミューズ ギャガ
高級クラシックカーを誰も思いつかない手口で大胆に、美しく、そして完璧に車を盗む フォスター兄弟の犯罪クライムサスペンス。主演は名優クリント・イーストウッドの息子スコット・イーストウッド。 マルセイユのオークションで、アンドリューとギャレッドのフォスター兄弟が目をつけたのは世界で2台しかない超レアな「37年型ブガッティ」。大胆で華麗な手口で盗んだはずだったが、所有者が残忍な地元のマフィア、モリエールだったことから怒りを買い捕まってしまう。
命を助けてもらう見返りの条件は、モリエールと敵対するマフィアが所有する超高級車「62年型フェラーリ 250GTO」を1週間で盗むことだった・・・
©2016 OVERDRIVE PRODUCTIONS –KINOLOGY– TF1 FILMS PRODUCTION –NEXUS FACTORY
「アンダーグラウンド」の名匠エミール・クストリッツアが9年ぶりにメガホンを取ったリアリズムと寓話が混在するファンタジーヒューマンドラマ。今回クストリッツァ監督自ら主演を務め、戦争の最前線の中で運命の女性に出会い翻弄される男の波乱万丈な人生を描いている。 戦時中のとある田舎の村。ロバに乗って銃弾をかいくぐりながら兵士たちにミルクを届ける牛乳配達人の男は、村の美しい女性に愛されて幸せな毎日を送っていた。ところがある日、謎めいたイタリア人美女と恋に落ちたことで、男の人生は一変する。
個性に強い作品で注目を集めたクストリッツア監督だが、今作品も独特の世界観で観客を魅了する。音楽と共に踊り騒ぐシーンは健在だ。
©)2016 LOVE AND WAR LLC
時代を越え手紙により繋がれる「愛と絆」の物語。東野圭吾作品史上最も泣ける大ベストセラー感動作「ナミヤ雑貨店の奇蹟」の映画化。人生に迷った者たちから届く手紙に真剣に答えてくれる「ナミヤ雑貨店」。温情な店主も亡くなり廃業したこの店に、養護施設出身の三人の青年が訪れたことから、時空を超えた「手紙」のやりとりが始まっていく。物語はいくつものエピソードから構成され、雑貨店の秘密と相談者たち、さらに主人公である三人の青年との意外な共通点を感動的に結んでいく。
Hey!Sey!JUMPの山田涼介。村上虹郎(父は村上淳)、寛一郎(父は佐藤浩一)の面々と名優西田敏行とが奇蹟のコラボ。監督は「泣かせの名人」廣木隆一。
©2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会
「ねえ、バンドやろう」突然、想いを寄せていた燐から誘われ、高校3年生最後の夏をバンド活動に全力を尽くす篠原智。しかし燐が他界する直前に、燐に告げた一言に後悔し、立ち直れずにいた。そんな智にタイムリープが起こり、燐と初めて出会った半年前の夏の日に戻る。今度は燐が最後まで笑顔でいられるよう自分の気持ちを隠し、二度目の夏を燐とともに文化祭に向けて最高のバンド活動を始めるのだが・・・。
主人公の智役には若手NO・1の村上虹郎。智をバンドに誘う燐役にはガールズ・バンド「たんこぶちん」の吉田円佳。涙を誘うラストに青春の清々しさを感じる。
©2017 赤城大空・小学館/「二度めの夏、二度と会えない君」パートナーズ
父親の器のまったくないお気楽男が、ある日突然シングルファーザーに!!「最強のふたり」で大ブレイクしたオマール・シー最新主演作は、父と娘の固い絆を描く愛と笑いのフランス発バティ・ムービー。あらゆる難問を乗り越え[最強のパートナー]となっていく父娘の姿が感動的。さらにゲイの友人との友情話も交えるなどフランスらしさを覗かせる。型破りだが情に厚い。子育てに奮闘するうちに父性に目覚め、やがて“理想のパパ”へと変貌を遂げる主人公をオマール・シーが好演した。
本作の相棒、娘グロリアを演じるグロリア・コルストンは、映画初出演。堂々とした存在感とハツラツとした演技は好印象。ゲイ役のアントワーヌ・ベルトランもユニークだ。
PHOTO : Julien PANIÉ
ドイツ国内で220万部以上を売り上げた児童小説の大ベストセラー「14歳、ぼくらの疾走」を映画化。14歳の少年2人の“ありえない夏休み”を通し、誰もが叶えることのできなかった“理想の青春時代”が蘇るドイツ版「スタンド・バイ・ミー」。クラスのはみ出し者のマイクと、一風変わった転校生チック。夏休み。窮屈な日常を飛び出し、盗んだオンボロ車で旅に出る…。後先考えず、前進あるのみ。無鉄砲なこの旅は、いつしか2人にとって一生忘れることのできないものとなっていく。
恐いもの知らずで、不可能を可能にしてしまう“14歳”。2人の暴走劇をみながら、その若さが無償に羨ましくなった、欲を言えば50年後の彼らの再会も見たかった。
©2016 Lago Film GmbH. Studiocanal Film GmbH
裕福な銀行家の息子セザンヌと貧しい母子家庭のゾラ。幼い頃から夢を語り合い、ゾラはパリで新聞に評論を書きながら小説家として成功する。一方、セザンヌも画家を目指してパリで絵を描き始めるが、サロンでは落選が続き、成功したゾラに対し心を閉ざしていく。ゾラの別荘で久しぶりに再会したふたりは、ゾラの新作小説のモデルがセザンヌだったことで口論となる・・・。
フランスで有名なセザンヌと文豪ゾラの友情と男の嫉妬、芸術にかける熱い魂。セザンヌが最後までプロヴァンスにこだわったのはなぜか?奇人としか思えないセザンヌの行動だが最後に見せる寂しい姿に大人になりきれない人間としての純粋さが見えてくる。
©2016 - G FILMS - PATHE - ORANGE STUDIO - FRANCE 2 CINEMA - UMEDIA - ALTER FILMS
ノーベル賞作家と地元の人間たちとの奇想天外な騒動から浮き彫りにされる人間模様を描いたヒューマンコメディ。 故郷アルゼンチンを離れ、スペインで暮らしていたノーベル賞作家ダニエルは、故郷の田舎町サラスから名誉市民賞を授与されることになり、40年ぶりに帰郷するが、これまで執筆してきた作品の内容が災いし、思わぬ展開に巻き込まれていく・・・。
第73回ベネチア国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した主演のオスカル・マルティネスのちょっと偏屈な作家の姿は、コメディと感じていてもラストに近づくにつれ、サスペンス要素が強くなりちょっと寒気がする、名演技である。
イラク戦争の最中、姿の見えないスナイパーに狙われた、アメリカ兵の孤独で極限の状態の戦いを描いた戦場アクションスリラー。 2007年、イラクの荒廃した村で突然襲撃を受けるアメリカ兵のアイザックとマシューズ。瓦礫の中の壁に逃げ込んだ二人は負傷を負い身動きが取れない状態に。マシューズがスナイパーを確認するため壁に近づいたところ、想定外の場所から銃撃され崩れ落ちる。アイザックは無線で救援要請しようとした時、無線から聞こえてきたのは“死神”と恐れられるスナイパー、ジューバの声だった・・・。
今だ招待不明の謎のスナイパージューバ。姿が見えない敵に壁一つで戦うシューズの姿から恐怖が大きくなっていくのを感じる。
©2017 AMAZON CONTENT SERVICES LLC
サーミ人少女の成長と居場所探しの物語。サーミ人とは、スウェーデン近郊でトナカイを飼い暮らす独自の言語をもつ先住民族のこと。昔は他の人種より劣った民族として差別を受けていた。サーミ人の血をひく監督のアマンダ・シェーネルは、自らのルーツに迫った渾身作を発表し、2016年東京国際映画祭審査員特別賞、優秀女優賞のW受賞に輝いた。主演女優レーネ=セシリア・スパルロクもトナカイを飼い暮らすサーミ人。衣装、小道具、トナカイの扱い等、すべてがリアルだった。
恋も勉強もしたい。人間として当たり前の生き方をしたい。自由への憧れと現実との間に生じるジレンマ。レーネ=セシリア・スパルロクは少女の痛みを見事に表現した。
© 2016 NORDISK FILM PRODUCTION