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アーネスト・クライン原作「ゲームウォーズ」を、スティーブン・スピルバーグ監督が映画化したSFアクション。 2045年。世界中の人々が熱中するゲームの世界、リアルなVRワールド「オアシス」内に、あるメッセージが発信される。それは死去したオアシスの開発者ジェームズ・ハリデーからオアシス内に“宝の卵”を隠した、最初に見つけた者をオアシスの後継者にするというものだった。メッセージを見たウェイドは、世界のゲーマーに混じり“宝の卵”を探すため、トレジャー・ハンティングに挑むのだった。
劇中では、日本でもお馴染みのキャラクターがゲーム内で動き回り、原作者のオタクらしさが満載だが、作品の本質は生身の人間にとって友情と恋愛が大事というの伝わってくる。
©2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED
「ハンガー・ゲーム」シリーズで大ヒットを飛ばしたフランシス・ローレンス監督が、女の美貌を武器にハニートラップを得意とする「スパロー」と呼ばれる女スパイの活躍を描いたスパイアクション。
事故でバレリーナの夢が絶たれたドミニカは、病気の母の治療代を稼ぐため、ハニートラップと心理操作で任務を遂行するロシアのスパイ“スパロー”となる。厳しい訓練後ドミニカに与えられた任務は、ロシアの機密情報を探るCIA捜査官ナッシュに近づき、情報を得ること・・・。
映画からは現在のスパイの姿、仕掛ける謀略と、任務遂行でみせる残忍さは目を覆いたくなる。これは原作者のジェイソン・マシューズ自身が元CIA工作員からくる体験だけに恐い。
©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation
ボードゲームから今度はTVゲームとなって究極ゲームをクリアする「ジュマンジ」シリーズ第二弾、アトラクション・アドベンチャー。
学校で居残りをさせられていた高校生4人は偶然「ジュマンジ」という古いテレビゲーム機を発見する。好奇心からそれぞれのキャラクターを選んだ瞬間、TVゲーム「ジュマンジ」の中に吸い込まれてしまう。猛獣だらけの危険なジャングルから元の世界に戻るには、超難関のステージをクリアすること。ただし3回死んだらゲームオーバーとなる。果たして彼らはゲームをクリアできるのか・・・。
ジャングルには危険がいっぱい。ドタバタ騒がしいコメディにジャングルを駆け抜けるハードなアクションをドウェイン・ジョンソンとジャック・ブラックが熱演。
©2017 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved
人類存亡をかけた巨大ロボット、イェーガーと“KAIJUの戦いを描いたSFアクション「パシフィック・リム」シリーズ第二弾。前作からのジョン・ボイエガや菊池凛子のメンバーに、今回新田真剣佑が参加。 怪獣退治から10年。平和を取り戻した地球に再びKAIJUが出現する。“KAIJU”の進化に対応すべく、新タイプのイェーガーに若きパイロットたちが乗り込み人類存亡の危機に立ち向かう!!
全面フルCGで描かれるイェーガーとKAIJUの戦闘シーンは派手でなめらかな動きだ。人が動かす特撮で慣れた日本のファンの反応が気になるが、ハリウッドの底力を堪能できる一作である。
©Legendary Pictures/Universal Pictures.
走行中の電車の中で起こるリアルタイムサスペンス。 突然、会社から解雇を言い渡された60歳の保険セールスマンのマイケルは、電車の中で落ち込んでいると、見知らぬ女性から電車が終点に着くまでに、100人の乗客から重要な荷物を持った一人の人物を探し出して欲しいと依頼される。条件として見つけ出せたら多額の報酬を払うという。しかしこの依頼にはある罠が隠されていた。
なぜマイケルがデスゲームに選ばれたのか、誰が重要人物なのか、すべての謎が伏線となった展開に引き込まれてしまう。無駄のないストーリーではあるが、リーアム・ニーソンだと、どうしても普通の人の役柄に違和感を感じてしまうかも。
©STUDIOCANAL S.A.S.
「きっと、うまくいく」のインドの国民スター、アーミル・カーン主演作。レスリング国内チャンピオンだった父親と、父親から金メダルを託された娘たちの超過酷で感動的な「金メダルへの道」を、レスリングのルール解説付きでみせる実話に基づくスポ根エンターティンメント。痩せたり、太ったりと体型をコントロールし、レスリング一直線の熱血親父に扮するアミールカーン。主演といえども、すべての格闘シーンをアスリート並みに演じる娘役女優たちにその座を譲りつつ、ロバート・デ・ニーロ張りの貫録で存在感を残した。
レスリングのインド国内チャンピオンになったものの、生活のため引退した父親。金メダルの夢を息子に託したが、授かったのは娘ばかり。一旦は諦めたが、長女と次女に格闘センスを見出した父親。眠っていたレスリング魂に火がついた…。まさにこの父娘はインド女子レスリング界の先駆け的存在。後に日本の吉田沙保里選手や伊調馨選手とも闘い、世界的大会で数々の輝かしい成績を残している。とは言えども、最初は父親に言われるがままに嫌々始め、そのスパルタ教育の裏で葛藤する娘心がとても良く描かれていて痛々しかった。
「ダンガル」とは、インド語でレスリングのこと。あらゆる困難を蹴散らかし父と娘で歩んだ“いばらのレスリング道”。金か、銀か?のクライマックス30分にドキドキが止まらなかった。
©Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016
Nelyubov
子供を愛せない親と、親の愛を渇望する息子。愛のない結婚で、愛を築けなかった夫婦に訪れる悲劇。カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞したロシアの鬼才、アンドレイ・ズビャギンツェフ監督衝撃の話題作。凍てつく現代のロシアを舞台に、互いに別のパートナーがいる離婚間近の夫婦のもとで息を潜め暮らしている12歳の息子の失踪劇を、重苦しく詩的描写で映し出す“ラブレス・エンドレス”の物語。
「愛のない所には愛は育たない」という確実なメッセージを残しながらも明確な答えは出さず、虚無感だけが残るエンディングで纏める。
©2017 NON-STOP PRODUCTIONS - WHY NOT PRODUCTIONS
Aus dem Nichts
ドイツ全土で実際に起こった在住外国人を狙ったネオナチによる連続殺人テロ事件「NSU事件」 をベースに、突然家族を奪われた女性の決死の復讐劇を描く、ドイツの名匠ファティ・アキン大注目の最新作。主演は本作で第70回カンヌ国際映画祭主演女優賞を獲得したダイアン・クルーガー。世界を股にかけ活躍するドイツ出身の女優が、初めて母国ドイツ語で挑んだ渾身の代表作であり、第75回ゴールデングローブ賞外国語映画賞受賞ほか優秀な賞に輝く紛れもない傑作となった。
ネオナチによるテロ事件で、最愛の夫と幼い息子を同時に失った主人公女性カティア。容疑者は逮捕されたが、夫がトルコ系移民で前科者という過去もあり、裁判は納得のいかない結果となり、絶望感に苛まれた彼女はある決断を下すのだが…。容疑者逮捕から法廷劇へと物語は展開され、理不尽な裁判結果に憤りを感じた主人公が、“復讐”という決断を下すまでが描かれる。が、映画の本題は事件そのものを掘り返すのではなく、事件の根底にある「差別と偏見」が、いかに彼女を苦しめていくのか、その「悲痛な感情」を伝えていくのだ。
女性は一生のうち何度大きな決断を下さねばならない場面に遭遇するのか。主人公女性が下す最後の決断に衝撃が走りながらも、もし自分だったら…と考えると共鳴せずにはいられなかった。
©2017 bombero international GmbH & Co. KG, Macassar Productions, Pathe Production, corazon international GmbH & Co. KG, Warner Bros. Entertainment GmbH
「ヒューゴの不思議な発明」のブライアン・セルズニックの同名ベストセラー小説の映画化。母親を亡くし顔も知らない父親を探すためニューヨークへと旅に出る、1977年のミネソタの少年と、厳格な父親から逃れ憧れの女優に会うため、1927年のニュージャージからニューヨークへと向かう聾唖の少女との奇跡の巡り会いを描く感動作。
監督は同性愛映画「キャロル」のトッド・ヘインズ。二つの時代を行き来するファンタジー色豊かな壮大な世界観に、モノクロ・サイレント映画を挟んだこだわりの演出で新境地に挑んだ。
「ワンダーストラック」とは違う時代を生きる二人を結びつける自然史博物館の本のことで、新たな人生を歩き始めた二人が遭遇する驚きと幸せの一撃=ワンダーストラックのことでもある。
© 2017 AMAZON CONTENT SERVICES LLC
北イタリアの避暑地を舞台に17歳と24歳の青年が経験するひと夏の恋の物語。アンドレ・アシマンの話題の小説を、御年89歳の巨匠ジェイムズ・アイヴォリーが脚色。どのシーンをみても瑞々しく眩く美しい。昨今、若い女性達に人気の理想的なBLの世界がスクリーンを彩った。1983年夏、北イタリアの避暑地で家族と過ごすエリオ(ティモシー・シャラメ)は、大学教授の父が招いた大学生オリヴァー(アーミー・ハマー)と出会い、彼に寄せる特別な感情に気づき始める…。
本年の賞レースを賑わせた新星ティモシー・シャラメの初々しい魅力に胸ドキ。またアーミー・ハマーの短パン姿も眩しく、青年を優しく誘うしなやかな指先にもエロスを感じた。
©Frenesy, La Cinefacture
ロンドンの高級住宅地ハムステッドの国立公園で暮らしていたホームレスの男性が、一夜にして資産家になったというまさかの実話をベースに、高級マンションで暮らしながらも満たされない日々を過ごす未亡人女性と、自給自足の山小屋生活を楽しむ男性との軽やかで爽やかな大人の恋を描く。ハムステッド国立公園の緑豊かな風景がスクリーン一杯に輝き、周囲に捕らわれず「自分らしく生きる」ことの幸せを高らかに謳い上げた珠玉作。
主演のダイアン・キートンと、ブレンダン・グリーソンが等身大の役柄をチャーミングに演じた。
ストーリーの核となるのは「シンプル・イズ・ベストライフ」。それはダイアン・キートンが着こなす衣裳にも表れている。ベーシックなのにおしゃれ感満載の大人服は、とても参考になった。
© 2016 RELIANCE ENTERTAINMENT PRODUCTIONS 6 LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.
「gifted/ギフテッド」のマーク・ウェブ監督最新作。ニューヨーク・マンハッタンを舞台に悩める青年の恋と成長を描いた本作は、代表作「(500)日のサマー」より描きたかったという12年越しの夢を叶えた青春ドラマ。
退屈な日々を過ごす青年トーマス。人生相談にのってくれる隣人の中年小説家や、年上の女性(父の愛人)との出会いが、彼の毎日を刺激あるものへとかえていく。将来のこと。両親のこと。恋愛のこと。そして自身のルーツのこと。子供と大人の中間地点にいる青年の複雑で多感な感情の揺れをカラム・ターナーが好演。
サイモン&ガーファンクルのサウンドもラブリー・キュートな物語にマッチング。ジェフ・ブリッジス、ピアース・ブロスナン、ケイト・ベッキンセールの大物スターの競演も懐かしかった。
©2017 AMAZON CONTENT SERVICES LLC
THE SQUARE
「フレンチアルプスで起きたこと」の北欧の鬼才リューベン・オストルンド監督最新作。財布と携帯を盗まれた美術館敏腕キュレーターが起こす騒動と人間模様を描く。タイトルの「スクエア(四角形)」とは平等を意味し、“思いやりの心”が欠如し非人道的行為が蔓延るピラミッド型(格差)社会に苦言を呈しているようだ。
主人公はまさにピラミッド型の頂点にいる男。「平等」を主張し世間の信頼と尊敬を得ていたが、軽はずみな行為が仇となり、彼の人望は丸つぶれ。頂点から崩れ落ちていく過程が皮肉とユーモアで描かれる。
鋭く深い観察力と想像力で人間の本性をスッパ抜く異色の世界観。この「聖域」に踏み込んだ瞬間、前作「フレンチアルプスで起きたこと」のような単純明快な話ではないことに気づくだろう。
©2017 Plattform Prodtion AB / Societe Parisienne de Production / Essential Filmproduktion GmbH / Coproduction Office ApS
「孤独」と「夢」を共有する男女の“心と体”が結ばれるまでを描く異色のラブストーリー。恋に奥手な大人たちの不器用さ、歯がゆさ、純粋さが、ハンガリーの鬼才、エニェディの強烈な感性で描かれる。ブタペスト郊外の食肉処理場で働く若い女と中年男。コミュニケーションが苦手な潔癖症で几帳面な女は、おそらく恋愛経験もゼロに等しい。方や片手が不自由な男は、既に人生にも恋愛にも疲れ果てている。“恋”とは無縁な二人。偶然にも同じ“鹿の夢”を見たことで心の距離は急接近するが…。
牛の屠殺シーンでは即座に目を覆ってしまったが、主演女優アレクサンドラ・ボルベーイの透明感ある美しさが救ってくれた。
2017©INFORG - M&M FILM
1980年5月、韓国光州市の取材に訪れたドイツ人記者と、10万ウォンという大金欲しさに彼を乗せたタクシー運転手が、生死を分ける闘いの中で芽生えた友情を通し、「光州事件」の実話に基づく感動ドラマ。注目すべき点は、名もなき民衆の尊い命をさらった韓国歴史に残る大事件を、至って平凡なタクシー運転手の視点から捉えている所。娘思いだが、少々こすずるい主人公が暴動に遭遇し、スペクタクル大作のようなスケール感ある映像描写で伝えている。
セコくて人間味ある人物を演じたら天下一品。ソン・ガンホが久々楽しませてくれた。ドイツ人記者は実在し、亡くなるまでタクシー運転手との再会を願っていた。
©2017 SHOWBOX AND THE LAMP. ALL RIGHTS RESERVED.
世界中のバーテンダーのバイブルとなっているレシピ本「シューマンズ バー ブック」の著者で伝説のバーテンダー チャールズ・シューマンを追いかけたドキュメンタリー。
世界で最も有名なバーテンダー、チャールズ・シューマンが、自分の原点であるバーの真髄を求め、交流のあるニューヨーク、パリ、ハバナ、東京、ウィーンの名店を訪問する。それぞれのバーは「バーベスト10」に入る有名店でトップバーテンダーのインタビューは貴重だ。
1杯のカクテルに魅せるバーテンダーの職人技とこだわり。完成された美しく魅惑なカクテル。アルコールがダメな方でもウットリしてしまう大人の映画である。
©2017 Thali Media