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世界の歌姫レディー・ガガ、映画初主演の超話題作。巨匠クリント・イーストウッドが映画化を熱望していた企画を、「アメリカン・スナイパー」で主演を務め、イーストウッドからの固い信頼を受けるブラッドリー・クーパーが初監督、主演を務めた。ショービジネス界を舞台に、歌手を夢見る一人の女性と、女性の人生を変えた一人のミュージシャンの愛と栄光と葛藤の物語を描く音楽エンターテインメント。1954年度J.キューカー監督、ジュディ・ガーランド主演「スタァ誕生」を一新した現代版「スター誕生」が世界を席巻する!
昼はウェイトレス、夜は小さなバーで歌いながら歌手を夢見るアリー。世界的ミュージシャンのジャクソンに見初められたアリー、瞬く間にスターダムへと駆け上っていくが、その成功の裏で、ジャクソンの歌手生命は陰りをみせ始める…。アリーのドラマチックな人生は、クラブのダンサーから歌手の夢を掴んだガガの半生と重なる。等身大の役を普段ステージで見せる奇抜なパフォーマンスではなく、“巣”の魅力で演じきったガガ。また自ら書き下ろした楽曲を圧巻の歌唱力で歌いあげ、“現代最高峰の歌姫”の名を不動のものにした。
アリーの光の人生とジャクソンの陰の人生。初監督とは思えぬ落ち着いた演出で期待に応えたブラッドリー・クーパー。演技面でもスター歌手の夫の重圧に苦しむ役柄を悶演。歌も上手かった。
©2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
オペラを観たことがなくても、その名前だけは知っている超有名なオペラ歌手マリア・カラス。これ迄にも数多くの映画やドキュメンタリーが作られてきたが、本作は、そのタイトル通りマリア・カラス本人がマリア・カラスを語るという異例の作品。オペラに精通しているトム・ヴォルフ監督が、カラス没後40年目にカラス本人による未完の自叙伝と手紙があるという真実を知り、3年の月日をかけ自叙伝を入手。秘蔵、初出し、蔵出し、音源等、沢山の貴重なフィルムや写真と共に、この「自叙伝」を映像化することに成功した。
エキゾチックな美貌、細身の体から湧き出る情熱の歌声。映画スターのような輝きとオーラの陰には、悲しき恋のスキャンダルや、喉の炎症により全幕出演を成し遂げられなかった歌劇「ノルマ」事件などの辛い出来事があった。劇中、恋人オナシスや友人のグレス・ケリーに宛てた手紙文などを、映画「永遠のマリア・カラス」の主演女優ファニー・アルダンが熱読。「伝説の歌姫」と「一人の女」という二つの顔をもつカラスの人生を明らかにしていく。関係者たちのコメントも一切なく、出演はマリア・カラスだけというのも気に入った。
「蝶々夫人」「椿姫」「カルメン」「トスカ」など舞台公演、コンサート公演から選りすぐった歌のシーンもたっぷり収録。聞き惚れた。オペラの魅力にも触れ、100%の満足感を味わった。
©2017 - Eléphant Doc - Petit Dragon - Unbeldi Productions - France 3 Cinéma
女性の生理が「穢れ」とみなされている現代のインドで、“生理用品”の普及に力を注いだ男の実話に基づくヒューマン・ドラマ。モデルとなったのは、アルナーチャラム・ムルガナンダムという南インド出身の男性。愛する妻が生理の時に古布を使用していることを心配し、清潔で安全な5日間を過ごせるようと、ナプキン作りを思いついたことがきっかけだった。映画はネバーギブアップの精神でナプキン製造に没頭し、苦闘の末、ついに“パッドマン=ナプキン男”としてインド女性の自立に貢献していく様が脚色を交え描かれていく。
金も学歴もない田舎男。あるのは妻を想う純粋な気持ち。だが女性の生理は今だタブーとされていた2001年当時のインド。当然誰からも相手にされず、変人扱い。それでも諦めきれない彼は故郷を捨て、単身都会へと渡る。そこからは、まさに「プロジェクトX」か「下町ロケット」のような劇的な話へと展開していく。インドの人気俳優アクシャイ・クマール。インドの宇梶剛士か、ニコラス・ケイジかと思うルックスで、一途なパッドマンを演じ、全世界女性の共感を得る。ラスト間近、自流の英語で熱弁する演説シーンは感動的だ。
パッドマンに関わる二人の対照的な女性も魅力的。歌と踊りも添えられ尺の長さも感じない、現代インドの驚きの実情も知ることができる、エンターティメント性抜群のお正月お勧めの一本。
世界的キャラクター、ミニオンを生み出したイルミネーション・エンターテインメントの新作は世界的に有名な絵本作家ドクター・スースの名作『いじわるグリンチのクリスマス』。 幼い頃はつぶらな瞳が愛らしかったが、成長してすっかりひねくれてしまったグリンチ。洞窟の中で暮らす彼は、愛犬マックスの献身的な愛にもぶっきらぼうに対応し、山麓の村人たちに意地悪ばかりして楽しんでいた。いつも不機嫌で孤独なグリンチは、クリスマスを愛する村人たちから大好きな「クリスマス」を盗むことを思いつく・・・。
小さい頃、あんなにかわいかったベビーグリンチが、どうして人の幸せが大嫌いで、いじわるばかりしている“超ひねくれ者”になってしまったのか?グリンチの声の吹き替えを大泉洋が熱演。
©UNIVERSAL PICTURES
アルゼンチン出身のパブロ・ソラルス監督、オリジナル脚本による長編映画第2作目。自身の祖父の家が「ポーランド」という言葉がタブーであったことから発想を得て作られた本作は、「ホロコースト」という避けては通れない歴史的事件をテーマにした感動のロード・ムービーである。主人公は、アルゼンチンに住む88歳の仕立て屋アブラハム。彼には死ぬまでにどうしても成し遂げなくてならないことがあった。それは70年間音信不通になっているポーランドに暮らす友人に、自分が仕立てたスーツを届けることだったのだ…。
家族の目を盗み、アルゼンチンからスペイン、フランスを経てポーランドへと向かう。彼は無事に辿り着き、友人と再会することが出来るのか?頑固で因業な爺さんが旅を通し知り合った人たちから支援を受け、苦虫を潰したような顔が次第に綻んでいくが、「ホロコースト」経験者の彼が「ドイツ」をモーレツに拒絶する下りは、戦後70年余りを経ても消し去ることのできない心の傷を象徴しているようで胸が痛む。アブラハム役のミゲル・アンヘラ・ソラの実年齢は68歳。特殊老けメイクにも劣らない深い演技にも暗い歴史の跡を感じた。
クライマックスに近づくにつれ友人との想い出話と「最後のスーツ」の意味が明らかにされていく。逢えるのか、逢えないのか。そのラストシーンに鳥肌が立ち、泣かされた。いい映画だ。
©2016 HERNÁNDEZ y FERNÁNDEZ Producciones cinematograficas S.L., TORNASOL FILMS, S.A RESCATE PRODUCCIONES A.I.E., ZAMPA AUDIOVISUAL, S.L., HADDOCK FILMS, PATAGONIK FILM GROUP S.A
愛する人を事故で亡くしたドイツ人ケーキ職人の男性と、夫を亡くしたエルサレムのシングルマザー。偶然にも同じ男性を愛し悲しみにくれる男女が、信仰心の強いイスラエルで巡りあい、ケーキ作りを通して惹かれあう愛と許しの物語。低予算映画でありながら、その素晴らしさが高く評価され数々の映画賞を受賞したイスラエルの新鋭オフィル・ラウル・グレイツァ監督。信仰心の強い父とそうでもない母の間に生まれ育ち、自らもゲイを公表する彼が、知人の妻から聞いた話をヒントに、構想8年の末描き上げた自信作である。
映画はベルリンのカフェで働くケーキ職人トーマスと、エルサレムから出張でよくこの店を訪れる妻子あるオーレンが愛を育むシーンから始まる。だが突然のオーレンの事故死により、トーマスはエルサレムでカフェを経営するオーレンの妻アナトを訪れるという話になっていく。国籍や文化・宗教や性別を超えた人間愛がテーマであるが、お国柄の信仰色を無視することは出来ない。だが信仰や食の規制が厳しい国で外国人や料理人が暮らすことの難しさや、“食”こそが人と人を繋ぐ材料となり諸問題解決の糸口になることを教えてくれる。
秘密を抱えたケーキ職人を複雑に演じたドイツのティム・カルクオフと、イスラエル人気女優サラ・アドラーの年の差共演も魅力的。宗教や同性愛など色んな隠し味が楽しめる美味なる作品。
© All rights reserved to Laila Films Ltd.2017
フランスの人気作家で新進気鋭の女性監督アマンダ・ステール最新作。パリに越してきたアメリカ人セレブ夫婦が、メイドを晩餐会に招いたことから巻き起こる恋のから騒ぎをエレガント調に描く、酸いも甘いも知り尽くした大人のためのラブ・コメディ。下品な話題が逆にうけ、ダンディな英国紳士から恋のアプローチを受けたメイドのマリア。メイドだって恋をしたっていいじゃないと主張するマリアに対し、身分違いの恋など甚だしいと、マダムのアンはご機嫌ななめ。さて、その結末は?
ゴシップやジェラシーと醜い嵐が吹き荒れる社交界の裏側。自分ファーストのマダムと、個性的な顔立ち(鷲鼻)が印象的なメイドのロッシ・デ・パルマの競演も楽しめた。
©2016 / LGM CINEMA - STUDIOCANAL - PM - Tous Droits Reserves
第35回大宅壮一ノンフィクション賞&第25回講談社ノンフィクション賞をダブル受賞した同名作品を映画化!鹿野靖明は筋ジストロフィーを患っているが、わがままで、おしゃべりで、自由に真っ直ぐに生きる姿に、周りは振り回されながらも、彼を愛し続けたボランティアの人々との交流を描いたヒューマンドラマ。 北海道の医学生・田中久はボランティア通じ、身体が不自由な鹿野と知り合う。難病・筋ジストロフィーでありながら、いつも王様のようなワガママを言い、周囲を振り回す。
『障がいがあるから』と遠慮することなく、周囲の人とも常に対等で向き合い、仕事も恋愛も自由にワガママに生きた鹿野さんの姿を、北海道俳優大泉洋がとにかく明るくおしゃべりに、誰からも好かれる人物像に色眼鏡なく見れた。
©2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会
恐ろしく孤独な<怪物>の愛と哀しみを描いたゴシック小説「フランケンシュタイン」を18歳で書き上げたメアリー・シェリーの知られざる人生の物語。19世紀のイギリスで、作家志望の娘の運命を大きく変えた妻子ある異端の天才詩人パーシー・シェリーとの出逢いから、愛と苦脳と絶望の日々の中で産み出された不朽の名作「フランケンシュタイン」を書き上げるまでのメアリーの人生の総てを「少女は自転車にのって」のサウジアラビアの女性監督がラブ・ロマンス調に高貴に描き上げた。
メアリーと同年代。可憐で聡明で力強いエル・ファニングの等身大とも言える演技と美しさに心奪われる。
©Parallel Films (Storm) Limited / Juliette Films SA / Parallel (Storm) Limited / The British Film Institute 2017
家族と暮らせない子供たちを育てる女性と、母のように慕う子供たちが、90年代のLAで起きた黒人が犠牲となった2つの事件を引き金に、アメリカ史に刻まれる暴動に巻き込まれていく姿をパワフルに描く真実から生まれた物語。デビュー作「裸足の季節」でアカデミー賞(R)外国語映画賞にノミネートされたデニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督が、LA.サウスセントラルに実在するホストマザーの女性とその家族をモデルに、彼らの視点から実在の暴動を描き上げた。
血は繋がらないが愛により繋がれた家族の心温まる物語だと思いきや、常に暴動の嵐。意表をつく展開に圧倒されたが、その背景には今だに残る「差別」があることに虚しさを感じた。
©2017 CC CINEMA INTERNATIONAL–SCOPE PICTURES–FRANCE 2 CINEMA-AD VITAM-SUFFRAGETTES
「マトリックス」のキアヌ・リーブスと「シザーハンズ」のウィノナ・ライダー。かつて一世を風靡した2人がキァリアを重ね、50代と40代になった“今”だからこそ演じられる役に挑んだ。ワインの産地としても知られるカリフォルニア南部ののどかな自然をバックに、運命の出会いなど信じられないヘリクツ男と、運命の恋が信じられなくなったヘリクツ女が、奇しくも友人の結婚式で出会いまさかの恋におちていくまでを、キアヌとウィノナ二人だけの会話劇で描くロマンチック・ラブ・コメディ。
キアヌとウィノナの抜群の息の掛け合い。作風としてはジュディ・デルピー、イーサン・ホークのコンビで好評を博した「恋人たちの距離」「ビフォアー・サンセット」に似ている。
ぽっちゃり体型で自分に自信がもてない女性が、頭を打った瞬間に超~キレイな女性に大変身(そう見えているのは自分だけ)。今までの陰気な自分とオサラバし、自信に満ち溢れた自分を最大限にアピール。憧れの仕事も恋もゲットしていく様を軽快に描くポジティブ・ラブ・コメディ。「ありのままの自分が好き」と公言する全米№1のコメディエンヌで主演のエイミー・シューマー。“美”を求める女性たちの心をくすぐり、目覚めさせ、笑いと共に共感と感動を届けてくれた。
オスカー女優ミシェル・ウイリアムズや、ナオミ・キャンベルなどのキレイどころが総出演。日本のエイミーこと渡辺直美が、日本語吹き替えにチャレンジし、負けじと好印象を残した。
©2018 TBV PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
群馬・前橋と東京を舞台に、7人の若者たちの学生時代から社会人までを描いた青春群像劇。 出演者の事件の問題で撮影の70%を撮り終えたところで、撮影中止を余儀なくされた作品だったが、スタッフ・キャストの「絶対に撮り直す」という熱い決意のもと、2年の後公開にこぎつけた。まるで公開までの苦労が映画内容とリンクしたように思え“青春”の輝きと挫折の厳しさが心に染みてくる。 2008年前橋で青春を謳歌する高校生7人。夢を持ち、地元に残った者、夢を追って上京した者、それぞれの思いを胸に抱きながら新しい未来へ進んでいく・・・。3年後7人が再び集まる。3年間で経験した7人の心には宿った思いとは・・・。
もし青春時代に戻ったら、どんなことをするのだろうか?青春の懐かしさと厳しさを思い出させる作品である。
©映画「青の帰り道」製作委員会
母親に棄てられ孤独と共に生きてきた元プロボクサーの兄と、母親だけを頼りに生きてきたサヴァン症候群のハンデをもつ弟。全く違う世界にいた兄弟が出会い、ひとつ屋根の下で暮らすことで家族愛、兄弟愛を育てていく感動作。主演はイ・ビョンホン。ハリウッドスターという名声に溺れることなく韓国映画にも積極的に出演する彼が、ド派手なアクションも銃撃戦も心理劇も封印。ひたすらに母親の愛情を乞う寂れた息子の顔と、障がいを抱えた弟の未来を拓く不器用な兄の顔を影ある表情で演じ分け、演技派ビョンホンを見せつけた。
サヴァン症候群で天才的なピアノの才能をもつ弟のパク・ジョンミンは、3か月間ピアノを猛特訓。代役なしの神かかった手の動きに圧倒。
©2018 CJ E&M CORPORATION, JK Film ALL RIGHTS RESERVED
東西冷戦時代の末期。無線を通し思いがけず知り合ったソ連の宇宙飛行士セルゲイと、キューバの大学教授セルジオの宇宙を超えた友情の物語。無線愛好家のセルジオが起こした世紀の一大プロジェクトとは?実在する元宇宙飛行士で“最後のソビエト連邦国民”と呼ばれたセルゲイ・クリカレフをモデルに、キューバの俊英エルネスト・ダラナス・セラーノが、奇想天外なアイディアを盛り込み架空の物語を執筆。
地球と宇宙。共に人生の逆境に立たされた男たちの非現実的な救出劇をファンタジー色豊かに微笑ましく描いた異色のバディ・コメディ。キューバを代表する俳優たちの演技にも注目。
©MEDIAPRO - RTV Commercial - ICAIC
御年85歳、ジョージア映画界の巨匠エルダル・シェンゲラヤ監督が21年ぶりに完成させた貴重な作品。政界に席をおいていた自身の経験を基に描き上げた本作は、ジョージア人の魂を大らかに空想的に謳い上げた人生賛歌。監督のトンチの利いた演出から、朗らかなジョージア人の気質が垣間見られた。物語は、故郷の葡萄畑を捨て、政界の椅子に居心地の良さを感じていた男が権力争いに負け、挫折を味わい故郷の良さを再認識。家族と共に身の丈に合った生活を取り戻していくまでを辛口ベースのユーモアで描かれる。
もう一人の主役は、何といっても大臣までに出世した男が有頂天気分で座る“椅子”。「ジャガー」と書かれているのも、いかにも成功者の象徴のようだが、監督の遊び心を感じた。