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19世紀半ばのアメリカでショービジネスの原点を築いた伝説の興行師で、「リングリングサーカス」の生みの親P.T.バーナムのサクセス・ストーリーを、ダイナミックな歌と踊りで描く感動のミュージカル。「ラ・ラ・ランド」の音楽スタッフと、「レ・ミゼラブル」のヒュー・ジャックマンがタッグを組み、7年間の準備期間と10カ月間のリハーサルを費やし、これぞエンタテイメント!と唸らせる豪華絢爛なオリジナル・ミュージカルを完成させた。共演にザック・エフロン、ミシェル・ウィリアムズ。
人とは違うことで疎外された才能豊かな人材を集めた「地上最高のショー」で大成功を収めたP.T.バーナム。映画はバーナムの貧相な生い立ち、妻チャリティとの出会い、妻を幸せにしたい一心でショービジネス界に参入し、持ち前の発想力で成功を掴むまでがテンポよく進む。9曲のオリジナル・ナンバー、ヒュー・ジャックマンのスマートなダンス。ザック・エフロンとゼンデイヤの興奮の空中ブランコ。ミュージカルのワクワク感を満喫しながら、初心を忘れかけた成功者から人生の教訓も学べる。
育ちも肌の色も体型も関係なく自分らしくいられる場所。バーナムが呼びかけたメッセージは、オンリーワンが求められる今の時代だからこそ、共感と感動で胸が一杯になるのだ。
©2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
2017年・第74回ベネチア国際映画祭で脚本賞で話題騒然となったクライムサスペンス。 ミズーリ州の田舎の町で起きた若い女性を焼き殺すという未解決事件に、娘の母親ミルドレッドは、犯人を逮捕できない警察に事件への抗議のため、町はずれの巨大な広告看板に署長に対する抗議メッセージを掲げる。この行動に警察や一部の住民はミルドレッドに不快な思いを抱き、いさかいが起きるが、抗議メッセージはやがて注目されテレビにも放送される。そして事態は思わぬ方向へと広がっていく・・・。
心に残る、刻まれるのが名作である。人が更生する時の心情をサム・ロックウェルが熱演。更生前の傍若無人な性格から署長の遺言的メッセージに心を諌め開き、本当の警官になる姿は感動的だが、ラストの行動は執念と捉えれば納得なのかもしれないが・・。
©2017 Twentieth Century Fox
モノクロ映画のヒロインが、銀幕の世界を飛び出し現実世界に生きる映画監督志望の青年と「恋」におちるロマンチック・ラブストーリー。カラフル・ポップな映像美と、時空を超えたファンジックなストーリーは若年層のハートをがっちり掴み、「ローマの休日」「狸御殿」シリーズ「カイロの紫のバラ」、カラス越しのキスシーンで有名な「また逢う日まで」など、昔懐かし名画へのオマージュが随所に盛り込まれた映画愛溢れる各シーンは、名画ファンにも喜んでもらえる完全オリジナル作品になっている。綾瀬はるか、坂口健太郎初共演作。
昭和30年代の衣装を華麗に着回す“お転婆姫”の綾瀬はるかは、まさに日本のオードリー。彼女が映ると周囲は華やぐ。綾瀬はるかという女優の凄さを再認識した。
©2018映画「今夜、ロマンス劇場で」製作委員会
シカゴに住むパキスタン出身のコメディアンの青年と白人女性が恋におち、人種や宗教の壁、まさかの大病を乗り越え結ばれる実話に基づくハートフル・ストーリー。イスラム教徒の古いしきたりの中で、恋愛よりもお見合いという結婚観の違いが致命傷となる二人。だが突然原因不明の病で“昏睡状態”に陥った彼女をみて、本当に大切なものに気づいていく彼は、コメディアン気質なのか、明るく前向きで彼女の両親ともすぐに打ち解ける。
自ら主演するクメイル・ナンジアニと妻本人の共同脚本により映画化実現。魅力的な異文化カップルとアメリカン・ジョーク満載のウィットに富んだ台詞が記録的大ヒットに繋がった。
©2017 WHILE YOU WERE COMATOSE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED
度重なる不審な連続変死事件が発生し、事件現場では黒スーツの男が目撃されていた。宇相吹正はSNSで「電話ボックスの男」と呼ばれ、ある電話ボックスに殺したい人物名を書いた紙を貼ると実行すると噂されていた。これまでの事件の死因は病死や自殺、事故など、殺人が立証できないものばかり。宇相吹を任意同行し聴取をするがベテラン捜査官たちも翻弄されるが、唯一マインドコントロール出来ない女刑事多田の存在が判明する・・・。
“思い込み”の力によって人を死に追い込む宇相吹役に松岡桃李が熱演。この作品は宇相吹の不気味な存在がすべて。昔から悪魔は天使のもうひとつの姿と言われる所以がある、まさに平成版喪黒福造だ。
©宮月新・神崎裕也/集英社 2018「不能犯」製作委員会
1976年に高倉健主演作「君よ憤怒の河を渉れ」を巨匠ジョン・ウー監督がリメイクしたサスペンスアクション。日本の製薬会社の顧問弁護士ドゥ・チウは、会社の記念パーティの翌朝、自宅のベッドで目を覚ますと、社長秘書・希子が死体となって横たわっていた。現場の状況証拠からはドゥ・チウが犯人と嫌疑をかけられ、罠に気づいた彼はその場から逃走を図る。ドゥ・チウを追う刑事・矢村は捜査を進めていくうちに事件に違和感を感じていく・・・。 オリジナル版は中国で初めて公開された日本映画で、劇中のセリフが当時流行となった。ジョン・ウー監督はオマージュを込めてこのセリフを作品のオープニングに使用している。
全編日本ロケを敢行し、ジョン・ウーならではの白鳩が飛ぶシーンや吹っ飛ぶアクションなど存分に楽しめる演出だ。
©2017 Media Asia Film International Ltd. All rights Reserved
第20回上海国際映画祭(アジア新人賞部門)で日本人俳優初の最優秀監督賞を受賞した俳優、斉藤工の記念すべき長編映画初監督作。放送作家・はしもとこうじの実体験をベースに描かれる本作は、甲斐性なしの父親の「失踪と死」を巡る、ある家族の「空白」の物語。映画はギャンブルに溺れる父親と、生活苦に追われる家族の回想シーンと、父の葬儀シーンの2部構成により展開。台本よりも演者のひらめきを重視した「アドリブ合戦」という手法を使った工監督の采配が光り、15の映画祭に出品、6冠獲得した。
ギャンブルで借金取りに追われ、妻と二人の息子を置き去りにし失踪した父親が、13年ぶりに余命3か月で見つかったが、父子の深い溝は埋まらずまま他界。だが葬儀に参列した人たちの父の人柄を象徴した「お悔やみ」の言葉が、家族の13年間の空白の時間を埋めていくのだ。斉藤監督本人も長男役として出演しているが、出しゃばらず脇役に徹し、父親役のリリー・フランキー、次男役の高橋一生と共に第15回ウラジオストク国際映画祭最優秀男優賞トリプルを受賞した。
佐藤二郎を筆頭に「葬儀」参列者の演技(アドリブ)が笑いを誘い、作品向上に一役かっている。70分の尺でも想いは伝えられる。映画は「長さ」ではないことを証明した。
©2017「blank13」製作委員会(ひかりTV/EAST GROUP/クロックワークス/TBSサービス) &福山雅治
架空の港町を舞台に仮釈放中の6人の元受刑者と過疎対策として受け入れた地元住民との交流を通し、人間の本性を焙り出すヒューマン・サスペンス。山上たつひこ、いがらしみきおの日本ギャグマンガ界二大巨匠が、原作と作画でタッグを組んだ衝撃問題作を「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督が映画化。地方の過疎化、刑務所不足と仮釈放制度、人口減少や移民問題などの今的テーマと、郷土色豊かなご当地映画的要素が噛み合い、地元住民と他者との共存共栄という人間関係の難しさを鋭く示唆した群像劇が展開する。
寂れた港町・魚深(うおぶか)。市役所に勤める月末一(つきすえはじめ)は、上司から新規転入者6名の受け入れを命じられる。だが、彼ら6名は仮釈放中の元受刑者で、しかも元殺人犯。身元も明かさず、元受刑者同士の接触も禁止。6人の動向を不安気に見守る月末。だが町の風物詩“のろろ祭り”をきっかけに、平和な町に不穏な空気が流れ始める…。 市役所職員月末役に錦戸亮。いかにも公務員!そつなく演じた。さらに北村一輝、優香、田中泯など元受刑者役の演者たちが個性の牙を光らせる。
瓢々としているのに、どこか危な気な元受刑者、宮腰くん役の松田龍平の演技は別格!除々に本性を見せていく下りが実に不気味。クライマックスに進むにつれ恐怖が加速した。
©2018「羊の木」製作委員会 ©山上たつひこ、いがらしみきお/講談社
自分に正直に生きるため、男になることを決断した16歳のレイと、そんな子供の決断に戸惑う恋多き母親(シングルシ・マザー)とレズビアンの祖母が、悩みぶつかりあい、傷つきあいながら、新たな人生を歩き始める愛と葛藤と希望の物語。物語はレイのホルモン治療のための親の同意書のサインを巡り、母親のマギーが奔走する模様が主に描かれ、現実を受け入れられない母親の複雑な心情と、自分らしく生きたい子供のジレンマが痛いほどよく描かれている。
製作総指揮も兼ねるナオミ・ワッツが子供の成長に困惑する不完全な母親を好演。スーザン・サランドンが軽妙に演じるレズビアンの祖母の破天荒なキャラクターも存在感を成す。
© 2015 Big Beach, LLC. All Rights Reserved.
Una Mujer Fantastica
恋人の死に遭遇したトランスジェンダーの女性が差別や偏見、逆境に立ち向かい“ナチュラルウーマン=ありのままの自分”らしく生きていくまでをサスペンス、ホラー、ヒューマン等、様々な要素を盛り込み描く人生讃歌。舞台はチリ、サンティアゴ。ウェイトレス兼ナイトクラブの歌手であるトランスジェンダーのマリーナ。年の離れた恋人が突然亡くなったことで、予期せぬ疑いをかけられてしまう…。理不尽な仕打ちへの怒りをパンチングボールにぶつける彼女の姿は逞しく、やるせない。
自身もトランスジェンダーの歌手であるダニエル・ヴェガ。実体験を活かし切ない女心を見事に表現。素晴らしい歌を披露するなど芸も豊富。今後目の離せない女優になりそうだ。
©2017 ASESORIAS Y PRODUCCIONES FABULA LIMITADA; PARTICIPANT PANAMERICA, LCC; KOMPLIZEN FILM GMBH; SETEMBRO CINE, SLU; AND LELIO Y MAZA LIMITADA
韓国の証券会社の支店長カン・ジェフンは、オーストラリアに住む妻スジンと息子と離れて暮らしているが、安定した職と家族にも恵まれ、それなりに成功した人生を送っていた。ある日突然起きた不良債権事件によりすべてを失ったジェフンは、失意の中、家族に会うためオーストラリアへと向かう。しかし妻と子にはふたりを支えるオーストラリア人男性の存在があった・・・。 ここ最近印象の強い役柄が多かったイ・ビョンホンがすべてを失った繊細な夫を静の感情表現で見せる。
家族と離れ離れに暮らす夫に起きた不幸の連続に心が折れていく姿は心が痛くなる。債権者が追い込むシーンは韓国民の身勝手さが映し出されえげつない。
©2017 WARNER BROS PICTURES, ALL RIGHTS RESERVED
偽アメリカドルを制作する犯罪組織の捜査をする北朝鮮のエリート刑事リム・チョルリョンは、上司の裏切りにより妻と仲間を殺されてしまう。、復讐に燃えるリムは、韓国に逃げた犯罪組織たちを追い、韓国の刑事カン・ジンテとともに捜査を進めていくのだが・・・。 一般的には国家ぐるみで偽アメリカドルを製造していると疑惑のある北朝鮮だが、その北朝鮮警察が韓国警察と共同で犯罪組織に挑む構図は真実味が薄い。しかしアクションのスケールは「シュリ」並に凄い。
各刑事の性格の違いに国家間のギャップが色濃く描かれている。女性のみをターゲットにした韓流映画の括りではなく、万人が受け入れやすいアクション映画に仕上がっている。
©2017 CJE&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED
第二次世界大戦下、ウイスキーの配給が止められ意気消沈の小さな島の島民たちは、大量のウイスキーを積んだ貨物船が島の近くで座礁する事件の発生に、これを神様からの贈り物だと、禁制品のウイスキー救出に立ち上がる・・・。 島の郵便局長ジョセフの長女ペギーと次女カトリーナの結婚式にウイスキーなしではあり得ないと、ウィスキーを求め島民が一致団結する姿は滑稽だ。
ウィスキーを美味しそうに呑み、酔うほどに歌い踊る。監督はこの映画をリメイクすることが長年の夢だった語る通リ、映像からもリスペクトが伝わってくる。スコットランド人のウィスキー愛恐るべし。
©WhiskyGaloreMovieLimited2016
停戦直後のバルカン半島のとある村で、生活用水の井戸に死体が投げ込まれ、撤去のため国際活動家「国境なき水と衛生管理団」が現地に派遣される。しかし死体を引き上げ作業中ロープが切れてしまい、代わりのロープを求め、武装集団や地雷の恐怖にさらされる危険地帯へと足を踏み入れることに・・・。 ジャンルは戦争映画になるが、ここには英雄は存在しない。この映画で描かれているのは戦場の中で暮らす人々の生活だ。笑いもあり、貧困の現実もある。
戦争に巻き込まれた人々の“それでも生きていく”姿に力強さが伝わる。道の真ん中に牛の死体が置かれ、地雷を避けてどこを通るかで困惑する国際援助活動家の姿は笑ってしまう。
©2015, REPOSADO PRODUCCIONES S.L., MEDIAPRODUCCION S.L.U.
150万人の犠牲者を生んだアルメニア人虐殺事件を背景に、過酷な時代に翻弄されながらも果敢に立ち向かった3人の男女の愛と友情の物語。主人公は医師志望のアルメニア人青年(オスカー・アイザック)とアメリカ人男性ジャーナリスト(クリスチャン・ベイル)、美しいアルメニア人女性(シャルロット・ルボン)。ありがちな三角関係から始まるが、戦禍が激しくなるにつれ一転。“人命救助”という同じ志をもった彼らが「恋の壁」「人種の壁」を超え闘う勇姿に心が動いた。
「ホテル・ルワンダ」の名監督テリー・ジョージが、悲劇的事件に真正面から取り組み、3人の男女の架空の友愛話を織り交ぜドラマチックに色づけ。歴史感動作となった。
©2016 THE PROMISE PRODUCCIONES AIE-SURVIVAL PICTURES,LLC. ALL Right Reserved.
2017年カンヌ国際映画祭監督賞を受賞したソフィア・コッポラ初のスリラー映画。舞台は南北戦争中のバージニア州にある女子寄宿舎。男子禁制の乙女の園に、ある日負傷した若き兵士がやってきたことで、秩序を守ってきた7人の女性たちの心のバランスが崩れ始める。原作はトーマス・カリナンの小説「The Beguiled」。1971年に映画化された「白い肌の異常な夜」のリメイクではなく、一人の男にかき乱される淑女たちの「嫉妬」と「欲情」の愛憎劇を女性目線から耽美に描くことに成功。
ニコール・キッドマン、キルスティン・ダンスト、エル・ファニングの美女優に、人生を狂わされるコリン・ファレル。紳士的な男がある事件を境に豹変、恐怖の結末を迎える。
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