スペインの新星、カルラ・シモンの少女時代の思い出をもとに作られた少女映画の名作。母を亡くした少女が、新しい家族のもとで本当の居場所を見つけるまでの“ひと夏”の成長物語を、主人公フリダの複雑な心情に寄り添い描かれる。舞台となる田舎町カタルーニャの晴れ晴れとした景観とは裏腹に、いつでも少女の心は曇りがち。温かく迎えてくれた新しい家族(叔父夫婦と幼い義妹)にも上手く馴染めず、つい反抗的な態度をとってしまう。
少女の名を借り監督自身の記憶を辿った物語は、母の死を受け入れ、泣きじゃくる少女の姿で締めくられる。やっと見つけた居場所。真の家族の誕生に胸熱くなった。
©2015, SUMMER 1993