病気を患い治療を続けながらも決して悲観的にならず、前向きにありのままに「今」を生きる5人の子供たちの無邪気な姿を追った珠玉のドキュメンタリー。監督はフランスで大ベストセラーとなった「濡れた砂の上の小さな足跡」の作者でジャーナリストのアンヌ=ドフィーヌ・ジュリアン。自分の娘を病気で亡くした経験をもつ人だけに、映画監督というよりは母親側から子供目線で捕らえた描写は実に生き生きとしている。家族との生活、学校生活、闘病生活をごく普通に過ごす子供たちから多くのこと学ばせてもらった。
子供たちを一人の人格者として接している病院側の対応にも驚かされる。子供たちは自分の病名をはっきりと把握し、自覚している。映画の中でも医者と子供たちが向かい合い、今後の治療についてを話し合っているシーンがあり、日本の医療との違いにも驚かされた。透析、薬剤の静注など、大人でも逃げ出したくなる辛い治療を小さいながらも受けなくてはならない子供たちに、何ともやるせない気持ちが募るが、子供たちが向かうのは「死」ではなく「明日」であり「今」であることが、子供たちを輝かせているのかもしれない。
病気だからと規制するのではなく「今」やりたいことをさせる。それが子供たちにとって一番の治療薬。どの子もみんな本当に可愛いくて、母になった気分で彼らの姿を追ってしまった。
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