2018年6月号

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レディ・バード

Lady Bird

  • TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
  • 2017年 アメリカ映画 94分

明日、羽ばたけ!

レディ・バード

カリファルニア州サクラメントを舞台に、カトリック系高校に通う17歳の少女の卒業までの記録と巣立ちの物語。家族のこと、母親とのこと、友達や彼氏のこと、大学進学のことなど、思春期ならではの悩みを盛り沢山に抱えたヒロインの多感な感情の揺れや痛みがユーモラスに描かれた同世代女子の共感をそそる青春傑作。自身もサクラメント出身のグレタ・ガーウィグ監督。離れてみてわかる故郷への想いを馳せながら、母娘関係を軸にした思春期の成長という普遍的テーマに豊富なアイディアをつぎこみ、独自の世界を切り開いた。

主演のシアーシャ・ローナンは若くして演技派の異名をとる女優。本作でも悩み多きヒロインを瑞々しく明るく前向きに演じ上げた。愛情の気持ちが裏目に出てしまい常に母娘関係はぎくしゃく。ローリ・メトカーフのいかにも母親だなぁと感じてしまうリアルな演技にも目を惹く。さらに「君の名前で僕を呼んで」の大注目の美形俳優ティモシー・シャラメのちょい悪セクシー高校生など見どころ満載だ。ちなみに“レディ・バード”とは、今の自分と置かれている現状から羽ばたきたいと、ヒロイン自身がつけたもうひとつの名前のこと。

  • 監督:
    グレタ・ガーウィグ
  • 出演:
    シアーシャ・ローナン
    ローリー・メトカーフ
  • 配給:
    東宝東和

本年度アカデミー賞(R)主要5部門ノミネート。本年度ゴールデン・グローブ賞ミュージカル/コメディ部門作品賞&主演女優賞(シアーシャ・ローナン)受賞の底力をとくとご鑑賞あれ!

©2017 InterActiveCorp Films, LLC./Merie Wallace, courtesy of A24

ワンダー 君は太陽

WONDER

  • TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
  • 2017年 アメリカ映画 113分

傷ついた分だけ 幸せになれる
“特別”から“普通”へ 愛と勇気のワンダーな心の旅

ワンダー 君は太陽

ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーリスト第1位を獲得した新人作家R・J・パラシオの痛い実体験から生まれたデビュー作「ワンダー」を、実写版「美女と野獣」の製作スタッフが映画化。遺伝子疾患で人とは異なる“顔”で生まれてきた少年が、家族の愛に見守られ輝ける場所を掴んでいくワンダー(驚きと奇跡)・ストーリー。それまで“特別な子”として生きてきた少年が味わう“痛み”と“喜び”、支えとなる家族の心情、少年を“普通の子”として迎い入れるクラスメート達の初めての感情がとても素直に描かれている。

27回の顔の手術も成果なく、宇宙飛行士のヘルメットで顔を隠し、外の世界を遮断してきた少年オギー。両親の薦めで学校に通い始めたものの、クラスメートからは“怪人”扱いされイジメの対象に。だが賢くユーモアに溢れた彼の魅力にクラスメートたちも気づき始めるのだ。困難に立ち向かう勇気と、弱い立場にいる人を優しい心で受け止める勇気。偏見やイジメ解決へと繋がる至って道徳的で感傷的な話ではあるが、その心配事を払拭する温かな作品なので、是非ともお薦めしたい。

  • 監督:
    スティーンヴン・チョボスキー
  • 出演:
    ジュリア・ロバーツ
    ジェイコブ・トレンブレイ
  • 配給:
    キノフィルムズ/木下グループ

天才子役ジェイコブ・トレンブレイの微笑みをくれる名演技。母親役も板についた大女優ジュリア・ロバーツ、父親役のオーウェン・ウィルソンが共に脇に撤し、いい味を出した。

©2017 Lions Gate Films Inc. and Participant Media, LLC and Walden Media, LLC. All Rights Reserved.

空飛ぶタイヤ

空飛ぶタイヤ

池井戸潤の人気ベストセラー小説の映画化。これまで「半沢直樹」「下町ロケット」などテレビドラマで大ヒットをさせてきたが、作者原作の映画化はこれが初めて。 ある日トラックの脱輪事故がもとで1人の主婦が亡くなる。事故を起こした運送会社社長・赤松徳郎は、警察発表の整備不備の検査結果に不信を抱き、トラックの製造元ホープ自動車のカスタマー戦略課課長・沢田に再調査のため連絡を取ろうとするが・・・。 実際にあった大手自動車会社のリコール隠しが頭をよぎる。日本の社会は大手だから安心と思ってしまう傾向があるが、真実を追求し、巨大な敵へ勇敢に立ち向かう送会社社長・赤松徳郎の姿に応援と共感をした。

  • 監督:
    本木克英
  • 出演:
    長瀬智也
    ディーン・フジオカ
  • 配給:
    松竹

子供時代、親から人様に後ろめたいことを決してするなと言われた言葉を思い出す。赤松が言う「正義はわれに有り」、社会ではままならない事が多いが気持ちよく見れる映画である。

©2018「空飛ぶタイヤ」製作委員会

万引き家族

愛 盗みました。
本当の家族になりたかった家族の物語

万引き家族

独自の視点で「家族」を描き続け、今や世界を代表する名監督となった是枝裕和監督の待望の最新作は、家族を超えた絆の物語。「そして父になる」でもそうだったように、家族とは?真のつながりとは?を問いかけながら、愛情に勝るものはない!という答えを導き出した。本作もまた、都会の片隅で万引きで生計を立てているワケあり家族の自堕落な日常から“愛”“を探り出し、そこに根付いていく確かな繋がりを描いていくが、子供視点が重要視されているので、どちらかといえば「誰も知らない」寄りの作品という個人的感想をもった。

高層マンションの谷間に建つオンボロ一軒家に、治と信代の夫婦と、息子の祥太、信代の妹亜紀が転がり込み住んでいる。彼らの生活費はこの家の持ち主である初枝の年金で、足りない分は万引きで補っていた。ある日、近隣の団地で震えていた幼い少女に見かねた治が、家に連れて帰ったことで、家族の秘密が暴かれ崩壊が始まるのだ…。誰かに捨てられ、誰のものでもなくなったものを盗んできては、愛情を注ぐ。これは血縁を超えた家族の物語であると共に、犯罪でしか繋がれなかった家族が本当の家族になりたかった物語でもあるのだ。

  • 監督:
    是枝裕和
  • 出演:
    リリー・フランキー
    安藤サクラ
  • 配給:
    ギャガ

リリー・フランキー、安藤サクラの安定の名演技。城桧吏と佐々木みゆ、子役の頑張りも強印象。入れ歯を外し、髪の毛を伸ばし、気持ち悪い老婆役に挑んだ樹木希林は、やっぱり流石だった。

©2018 フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

女と男の観覧車

Wonder Wheel

  • 丸の内ピカデリー 新宿ピカデリーほか全国ロードショー
  • 2017年 アメリカ映画 101分

ウディ・アレン版「欲望という名の電車」
舞台女優ばりのウィンスレットの熱演に大注目!

女と男の観覧車

82歳、巨匠ウディ・アレン監督の衰えを知らない最新作は、愛のもつれが生んだ嫉妬と裏切りの物語。アレン版「欲望という名の電車」と評判の、まさにテネシー・ウィリアムズの世界を彷彿する出来栄えになっている。映画界の至宝ヴィトリオ・ストラーロ、ノーマン・ロックウェルの絵画からインスパイアされたというモダンな映像は、リチャード・ロジャース、オスカー・ハマースタイン2世のミュージカル「回転木馬」を連想させ、その美しさに似合ったセンスの良い音楽も実に心地よい。だが物語は至ってシビア、凄みさえ感じた。

ビーチと遊園地。多くの観光客で賑わう1950年代のコニー・アイランド。元舞台女優で、今はウェイトレスをするジニー。回転木馬の操縦係をする現在の夫とは再婚同士で結ばれ、ジニーの連れ子と親子3人、観覧車の見える部屋で暮らしている。生活臭のする日々に刺激を求めるジニーは、脚本家志望の青年との秘密の恋に溺れている。しかし、ギャングと駆け落ちした夫の娘が突然帰ってきたことで、ジニーの心は乱れ始める…。主演女優ケイト・ウィンスレットのうだるような激情の演技から“愛が絡むと理性を失う”ことを教わった。

  • 監督:
    ウディ・アレン
  • 出演:
    ケイト・ウィンスレット
    ジャスティン・ティンバーレイク
  • 配給:
    ロングライド

外の景色は綺麗に見える。飽くなき理想を求めるが故に嫉妬心が高揚し、すべてが空回り。“欲望という名の観覧車”に乗り続ける女性のムンムンと汗ばんだ執念の愛に虚無感だけが残った。

© 2017 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.

焼肉ドラゴン

働けど、働けど、故郷は遠くなる…
演劇界の帝王が描く韓国版「屋根の上のヴァイオリン弾き」

焼肉ドラゴン

演劇賞を総なめした伝説の舞台劇の映画化。演劇界を代表する劇作家で原作者である鄭義信が、映画化用に脚本を執筆。自らメガホンをとった。「愛を乞う人」「血と骨」など、映画脚本も手掛けてきた鄭義信にとっての初監督作品でもある。高度経済成長期の1970年、日本万博博覧会で賑わう大阪伊丹空港のそばの集落を舞台に、焼肉屋を営む逞しき在日韓国人家族の愛と旅立ちの家族日記が笑いと涙で綴られたヒューマン・ドラマ。真木よう子、大泉洋など日本人キャストとイ・ジョンウン、キム・サンホの韓国演技派の共演も見どころ。

戦争で片腕を失くした父。血の気の多い母。年頃の三姉妹。いじめにあっている息子という家族構成で展開される「焼肉ドラゴン」は、差別と偏見、立ち退き問題等、監督の実話が活かされた昭和の物語になっているが、すぐに取っ組み合いの喧嘩で事をすます所などは、人気ホームドラマ「寺内貫太郎一家」を思い出す。また、すったもんだの末、好きな相手と所帯をもち親元を巣立っていく三姉妹と、幸せそうな娘たちを見届け、リヤカーを引き住み慣れた土地を離れていく夫妻の姿には「屋根の上のヴァイオリン弾き」の物語が重なった。

  • 監督:
    鄭義信
  • 出演:
    真木よう子
    井上真央
  • 配給:
    KADOKAWA ファントム・フィルム

「明日はきっといい日になる」と懸命に家族を守ってきた父親役キム・サンホの味のある演技に泣かされる。次第に彼が「サンライズ・サンセット」と歌うテヴィエに見えてきた。

©2018「焼肉ドラゴン」製作委員会

アメリカン・アサシン

American Assassin

  • TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
  • 2017年 アメリカ映画 112分

アメリカン・アサシン

ただ復讐のためにスナイパーとなった伝説の男!!!

元CIAエージェントのヴィンス・フリン原作「ミッチ・ラップ」シリーズの映画化! 主人公ミッチがどうしてCIAエージェントになったのかの導入章で、原作者が本物のエージェントだっただけにスパイのリアルな表現は、ジェームズ・ボンドやジェイソン・ボーンのような派手なバトルアクションやカーチェイスもほんの僅かで、むしろ拷問シーンのほうが目立つ展開でハリウッド特有の爽快感はありません。

  • 監督:
    マイケル・クエスタ
  • 出演:
    ディラン・オブライエン
    マイケル・キートン
  • 配給:
    キノフィルムズ

ビーチでバカンス中、無差別テロに巻き込まれ婚約者を殺されてしまったミッチは、テロリストへ復讐を誓い、CIAにスカウトされ暗殺者として日々訓練をしていた。そんな時、中東で第3次世界大戦の陰謀を察知したCIAは機密作戦にミッチを起用する・・・。

©2018 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.

犬ヶ島

ISLE OF DOGS

犬ヶ島

これはアンダーソン監督から日本へのオマージュ作品だ!!

近未来の日本で、”ドッグ病”によって犬ヶ島に隔離された愛犬を探す少年と犬たちの冒険を鬼才ウェス・アンダーソン監督が描くストップモーション・アニメ。 近未来の日本。ドッグ病の流行で人への感染を恐れたメガ崎市の小林市長は、すべての犬を“犬ヶ島”に隔離する。そんな時、12歳の少年アタリは愛犬のスポッツを探すため犬ヶ島に降り立つ・・・。

  • 監督:
    ウェス・アンダーソン
  • 出演:
    ブライアン・クランストン
    コーユー・ランキン
  • 配給:
    20世紀FOX

日本を深く愛するアンダーソン監督が「黒澤明と宮崎駿、二人の巨匠から強いインスピレーションを受けて作った」と語る通り、外国人から見た日本が描かれている。しかし日本人から見るとさすがに変で、なぜ?がいくつ出てしまう。要所に現れる上半身裸のタイコ叩き、BGMが七人の侍に笠置シズ子。近未来なのに時代遅れのオンパレードだ。

©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

50回目のファーストキス

50回目のファーストキス

50回目で「真実の恋」になる

映画「銀魂」の福田雄一監督が常夏の島ハワイを舞台に描く100%ピュア(?)な大人のラブストーリー。2004年の同名アメリカ映画を福田監督がまさかのリメイク。オリジナルの良さを残しつつも大胆にアレンジした。福田式ギャグをたんまり仕込み、たった1日で記憶が消えてしまう短期記憶障害を負った女性と、毎日愛を告白し続ける男性の「運命の恋」をシリアスかつ朗らかに描出。“笑って泣ける”、まさしく福田ワールド全開の作品だ。劇中歌、山崎まさよしの「One more time、One more chance」も実に効果的だった。

  • 監督:
    福田雄一
  • 出演:
    山田孝之
    長澤まさみ
  • 配給:
    ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

恋に一途な山田孝之と、難病を患いながらも健康的な明るさを振りまく長澤まさみ。2人のやりとりは愛おしく、ムロツヨシ、佐藤二朗など福田組常連も後光のごとく光っていた。

©2018『50回目のファーストキス』製作委員会

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。

  • 角川シネマ新宿 池袋HUMAXシネマズほか全国ロードショー
  • 2018年 日本映画 115分

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。

一風変わった夫婦の愛のカタチ
死んだふりをするのには、“ワケ”があるのです。

「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。どういうことなのでしょうか?」という夫からの質問が2010年に「Yahoo!知恵袋」に投稿され一大ブームを巻き起こし、コミックエッセイ化。その原作本を基に李闘士男監督が実写映画化した物語。一風変わった夫婦愛が楽しめる。仮装大賞の優勝も夢じゃないほどの手の込んだ衣装と小道具で死んだふりをする妻を榮倉奈々がとてもキュートに演じた。妻の意味不明な行動に冷静さを装いながらも振り回される安田顕の夫役も笑える。

  • 監督:
    李闘士男
  • 出演:
    榮倉奈々
    安田顕
  • 配給:
    KADOKAWA

死んだふりをやめない奇怪な行動。だがその裏には健気な想いが込められていた。妻から夫に宛てた最高のラブレター。たまにはこんな愛情表現があってもいいんじゃない?

©2018「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」製作委員会

30年後の同窓会

Last Flag Flying

30年後の同窓会

「6才のボクが、大人になるまで。」のリチャード・リンクレイター監督が、除隊後30年ぶりに再会した男たちのけじめをつける旅路を描いた感動作。 場末のバーを経営しながら自堕落な日々を過ごすサルの元に30年間音信不通だった旧友のドクが突然現れる。そしてふたりは現在、牧師となったも友人ミューラーのもとを訪れ、ドクは妻に先立たれたこと、息子が戦死したことを告げ、死んだ息子が故郷に戻る式に同行してほしいと依頼する。30年前のある事件から脱却するため三人はけじめの旅に出るのだった・・・。

  • 監督:
    リチャード・リンクレイター
  • 出演:
    スティーブ・カレル
    ローレンス・フィッシュバーン
  • 配給:
    ショーゲート

元兵士の社会復帰の弊害や家族の死など戦場から離れた今でもアメリカが抱える戦争問題は終わらない。バカ騒ぎをしながらもどこか影を持つ男たちの心情が痛い。

©2017 AMAZON CONTENT SERVICES LLC

オンリー・ザ・ブレイブ

Only the Brave

  • TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
  • 2017年 アメリカ映画 134分

オンリー・ザ・ブレイブ

巨大な山火事と戦った20人の男たち!!

2013年にアメリカのアリゾナ州で実際に起きた巨大山火事に、命を懸けて戦った特殊な森林消防団たちの実話を映画化したヒューマンスペクタクルドラマ。 も垣間見ることができる。 薬に溺れ自堕落な日々を送っていた青年ブレンダンは、恋人の妊娠をきっかけに自分を変えようと地元の森林消防団に入隊する。マーシュ率いるチームの男たちと友情の絆を深めながら少しずつ成長していくブレンダン。そんなある日、山を丸ごと飲み込む未曾有の山火事が発生する・・・。

  • 監督:
    ジョセフ・コジンスキー
  • 出演:
    ジョシュ・ブローリン
    マイルズ・テラー
  • 配給:
    ギャガ

荒くれた男たちの素顔も描きつつも、炎の動きを読み、自ら樹木を燃やし最小限に山火事を抑える特殊技術を屈指する消防団のプロフェッショナルなシーンは必見だ。

©2017 NO EXIT FILM, LLC

母という名の女

Las Hijas de Abril

  • ユーロスペースほか全国順次ロードショー
  • 2017年 メキシコ映画 103分

母という名の女

母ではなく 女でありたかった…「モンスター女」の復讐劇

「父の秘密」「或る終焉」のメキシコの名匠ミシェル・フランコ監督衝撃最新作。17歳の娘が妊娠したことで疎遠になっていた美しい母が戻ってきた。最初は献身的に母としての務めをこなしていたが、出産を機に母の歪んだ本性が見え始める…。子供のためなら身を削るのが「母」というもの。だがこの母親は違った。娘の若さに嫉妬していのか、おまえたちに費やした時間を返せ!とばかりに復讐しているのか。到底血を分けた母娘とは思えない鬼畜の仕打ちの数々。それまで信じて疑わなかった神的存在の「母」のイメージが覆された。

  • 監督:
    ミシェル・フランコ
  • 出演:
    エマ・スアレス
    アナ・バレリア・ベセリル
  • 配給:
    彩プロ

母であっても一人の女。不快な点も多々あるが、母という名の「モンスター女」から、醜く複雑な女心を汲み取って頂けたら幸いだ。

©Lucia Films S. de R.L de C.V. 2017

告白小説、その結末

D'apres une histoire vraie

  • ヒューマントラストシネマ有楽町 YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー
  • 2017年 フランス・ベルギー・ポーランド映画 100分

告白小説、その結末

エル(彼女)は誰?“私”と“彼女”の妖うい関係

鬼才ロマン・ポランスキーが描く戦慄のミステリー。極度のスランプに陥った人気女性作家デルフィーヌと、熱狂的ファンだと近づいてきたヒステリックな女性エルとの密室で起こる驚愕の心理劇は、傑作「ミザリー」を思い出すが、今回女性心理描写はお手の物の「パーソナル・ショッパー」のオリヴィエ・アサイヤス監督に共同脚本を依頼したことで、ポランスキーの濃密な世界観とアサイヤスのミステリアスな味が上手く絡み、より恐怖と疑惑を煽る極上のミステリーに仕上がった。

  • 監督:
    ロマン・ポランスキー
  • 出演:
    エマニュエル・セニエ
    エヴァ・グリーン
  • 配給:
    キノフィルムズ/木下グループ

作家の前に突然現れ、心身をかき乱していくエルという女性は何者で、目的は一体何なのか?現実なのか?妄想なのか?

©2017 WY Productions, RP Productions, Mars Films, France 2 Cinéma, Monolith Films. All Rights Reserved.

ビューティフル・デイ

You Were Never Really Here

  • 新宿バトル9ほか全国ロードショー
  • 2017年 イギリス映画 90分

ビューティフル・デイ

カンヌで主演男優&脚本をW受賞作品!!

第70回カンヌ国際映画祭で男優賞と脚本賞をダブル受賞した話題作。退役軍人のジョーは、FBI時代の事件のトラウマから薬への依存症になり、通常の職にはつけず人探しの仕事で生計立てていた。そこへ行方不明の少女ニーナを捜す仕事が舞い込んでくる。 感情を失ったようなジョーと無表情の少女ニーナの関係は複雑だ。共に心に傷を負い生きる希望など見いだせない姿、全編重苦しい雰囲気に時間の流れが止まったようだ。

  • 監督:
    リン・ラムジー
  • 出演:
    ホワキン・フェニックス
    エカテリーナ・サムソノフ
  • 配給:
    クロック・ワークス

想像させる演出はキタノ作品と同じ手法だ。ラストシーンに“生きる”ことへのわずかな希望の光を見せる。気づけば90分、なんとも濃厚な映画なんだろうと感じさせてくれる一本だ。

©Why Not Productions, Channel Four Television Corporation, and The British Film Institute 2017. All Rights Reserved. ©Alison Cohen Rosa / Why Not Productions

オンネリとアンネリのおうち

Onneli ja Anneli

  • YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー
  • 2014年 フィンランド映画 80分

オンネリとアンネリのおうち

「微笑み」と「幸せ」が詰まった素敵なおうち

フィンランドの児童文学の映画化。仕事や育児で大忙しの両親にかまってもらえない2人の女の子、黒髪の少女オンネリと金髪の少女アンネリ。「正直者にあげます」と書かれた大金入りの封筒を拾い、そのお金でバラの木夫人というおばあさんから水色の素敵なおうちを買うことになった2人のお手柄夢冒険物語。2人が住む秘密のおうちの、なんと可愛いことでしょう。家具、インテリア、お洋服、食べ物など、目に入るものすべてが憧れの北欧カラー、思わず微笑んでしまいました。

  • 監督:
    サーラ・カンテル
  • 出演:
    アーヴァ・メリカント
  • 配給:
    アットエンタテインメント

親子のあり方、人とのふれあいなど、児童文学ならではの教えが純粋な子供の目線から愛らしく想像力豊かに描かれている。これはただ可愛いだけじゃない、幸せをわけてくれる映画なのだ。

©Zodiak Finland Oy 2014. All rights reserved.