カリファルニア州サクラメントを舞台に、カトリック系高校に通う17歳の少女の卒業までの記録と巣立ちの物語。家族のこと、母親とのこと、友達や彼氏のこと、大学進学のことなど、思春期ならではの悩みを盛り沢山に抱えたヒロインの多感な感情の揺れや痛みがユーモラスに描かれた同世代女子の共感をそそる青春傑作。自身もサクラメント出身のグレタ・ガーウィグ監督。離れてみてわかる故郷への想いを馳せながら、母娘関係を軸にした思春期の成長という普遍的テーマに豊富なアイディアをつぎこみ、独自の世界を切り開いた。
主演のシアーシャ・ローナンは若くして演技派の異名をとる女優。本作でも悩み多きヒロインを瑞々しく明るく前向きに演じ上げた。愛情の気持ちが裏目に出てしまい常に母娘関係はぎくしゃく。ローリ・メトカーフのいかにも母親だなぁと感じてしまうリアルな演技にも目を惹く。さらに「君の名前で僕を呼んで」の大注目の美形俳優ティモシー・シャラメのちょい悪セクシー高校生など見どころ満載だ。ちなみに“レディ・バード”とは、今の自分と置かれている現状から羽ばたきたいと、ヒロイン自身がつけたもうひとつの名前のこと。
本年度アカデミー賞(R)主要5部門ノミネート。本年度ゴールデン・グローブ賞ミュージカル/コメディ部門作品賞&主演女優賞(シアーシャ・ローナン)受賞の底力をとくとご鑑賞あれ!
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