第75回ベネチア映画祭で絶賛上映された塚本晋也監督初時代劇作品。平和が続いていた江戸時代末期に武士たちに新しい動きが見え始める。開国か否かで大きく揺れ動くなか一部の武士が都を目指し立ち上がる。 日々農業を手伝いながら鍛錬する浪人役に池松壮亮。その農家の娘に蒼井優。剣の腕は凄いが人を斬った事がない浪人の複雑な心境を見事に描いている。対照的に塚本監督演じる浪人は躊躇なく人を斬る。斬ることで、そこからまた争いごとが続いていく。生きる為、大儀の為斬る。虚しさが残る。
時代劇のヒーローといえば次々に人を斬る三船敏郎のイメージが強い中、監督は人を斬るということで発生する生死への感情とは?そのメッセージが伝わる作品になったと思う。
©SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER