「夏をゆく人々」で鮮烈な印象を与えたイタリアの女性監督アリーチェ・ロルヴァケル最新作。80年代初頭のイタリアで実際に起こった小作人制度廃止に伴う詐欺事件をベースに、キリストの奇跡により死後四日目に蘇生した聖人「ラザロ」を現代に蘇らせ描かれる小さな尊厳の物語。映画は現代のイタリアの小さな村で、小作人制度を隠蔽する侯爵夫人の下で閉塞され生活する村人と青年ラザロが、ある誘拐事件をきっかけに外の世界へ踏み入れていく話を寓話的に描く。
ここに登場するラザロは決して「神」ではないが、穢れた世の中で「無垢な心」を持ち続ける唯一無二の存在として貴重な光を放っていた。
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